外国にルーツを持つ子どもたちの集う教室

さっと日本語クラブ

 

 2004年6月から始まった子どものための日本語講座「さっと日本語クラブ」。

 毎週土曜日、市中心部の青葉区中央市民センターに、さまざまなバックグラウンドの子どもたちが集まります。来日したばかりで日本語がまだ話せない外国出身の子ども、日本国籍だが外国で生まれ育った子ども、日本生まれで会話は得意だが学習用語が苦手な子どもなど、一人一人事情が異なります。

 

言葉がわからない国で頑張る子どもたち

 

「初めはみんな緊張してやってきます。硬い表情をして、なかなか周りに馴染めない子もいます。突然言葉がわからない国に連れて来られるのだから大変ですね。大人は自分の意志で日本での生活を始めますが、子どもたちは違います」と話すのは、さっと日本語クラブで日本語指導をする河田さん。

 

「ただ、子どもたちは吸収も早い。学校で日本の子どもたちと過ごす中でどんどん日本語を覚えて、表情も明るくなっていきます。1年たったら、ほかの子どもたちとふざけあったりして、手がつけられない。その成長を見るのが私たちの喜びでもあります」

 

 毎回の教室にやってくる子どもたちの数は15名程度。小学校低学年、高学年、中学生とグループに分かれ、3人の先生たちがそれぞれの子どもたちのレベルにあった教材を使って指導します。大学生のボランティアがサポートに入ることも。日本語学習に加えて、学校の宿題やドリルなどを使って、教科学習も手伝います。時には勉強だけでなく、子どもたち同士で触れ合うアクティビティも行います。

 

 

将来は国際交流の懸け橋に

 

 先生の一人である熱海さんは、「いろいろな子どもたちがいて私たちも毎週楽しく教えています。子どもたちは、自分のルーツの文化と日本の文化、どちらも持っています。今は大変でも、大きくなった時にそれを強みにして国際交流の懸け橋になってくれると嬉しい」。

 

 平日に通う学校では、外国にルーツを持つ子は教室で自分だけ、という子どもたちも少なくありません。そんな子どもたちも、週に1回、同じ境遇の子どもたちと過ごすことで「私だけじゃないんだ」という安心を得ることができる貴重な場になっています。


こどものための日本語講座

さっと日本語クラブ

 

開催日 5月から2月 毎週土曜日 ※夏休み、冬休み期間は休み

時 間 午前10時から12時まで

場 所 仙台市青葉区中央市民センター (仙台市青葉区一番町2-1-4)

講 師 NPO法人ICAS 国際都市仙台を支える市民の会

費 用 前期500円、後期500円

申 込 仙台市青葉区中央市民センターで受付 電話 022-223-2516 

※月曜、祝日の翌日は休館



 

コラム

外国にルーツを持つ子どもが学校に来たら

学校ができること、私たちができること

 サポート制度を利用

 仙台市教育委員会では、通訳支援や日本語指導の必要な児童・生徒のために「外国人子女等指導協力者派遣制度」を設けています。1回のサポートは2時間、最大30回ですが、宮城県国際化協会の類似事業を利用することでさらに10回派遣ができます。教育指導課に問い合わせてみましょう。

 

 日本育ちで会話力に問題がなくても、学習言語が身についていない子どもたちもいます。そのような場合も相談してみましょう。

 

 保護者とのやりとりで困ったら、仙台国際センター交流コーナーの「通訳サポート電話」や「OASIS付き添いボランティア」を利用しましょう。難しい手続きや保護者面談の時に、通訳を介して情報を伝えることができます。

 

早期に受け入れを

 就学年齢の子どもたちにとって、学校教育は成長に欠かせない重要な要素です。

 外国籍の子どもは日本の義務教育の対象外ですが、本人と保護者が希望すれば教育を受ける権利があります。

 

 日本語ができない子どもを受け入れる場合、学校側も不安があると思いますが、子どもの就学期間にブランクが生まれないよう、なるべく早く受け入れましょう。

 

家族もサポート

 外国人保護者にとって、学校から毎日届く「おたより」を読むのは大変です。PTAや子ども会、地域行事などを理解するのも難しいでしょう。

 同じクラスの保護者やご近所同士で、学校や地域で孤立しがちな外国人保護者をサポートしましょう。