外国にルーツを持つ子どもたちの成長を支える
外国人の子ども・サポートの会
2005年4月に4人のメンバーの勉強会から始まった「外国人の子ども・サポートの会」。その翌年、中国出身の中学生を支援することになってから、本格的な活動が始まりました。
「場所を借りるお金がなくて公共施設のフリースペースで活動を始めたのですが、それが逆に良かったです。オープンな場なので、子どもたちはいろいろな人に出会います。毎回来るうちに顔見知りが出来て、知らない人とのコミュニケーションも生まれます。彼らにとってすごくいい影響があるんですね」と話す、会の代表 田所希衣子さん。
兄弟のように寄り添い支援
会では、日本語が不自由で学校の勉強についていけない子の学習支援や、日本で高校・大学進学を目指す子どもたちの受験勉強支援など、より困難なケースに積極的に取り組んでいます。
支援が必要な子が来たら、事務局が段取りをして、5~6人のサポーターでチームを作り、毎回1対1で学習を支援。日本語学習とともに、学校の授業や受験に必要な教科学習の支援も行います。サポーターは学生や社会人ボランティア。事前に研修を受けて支援に入ります。
「この会は塾ではありません。サポーターは子どもたちに兄弟のように寄り添い、どんな勉強をしていけばよいか一緒に考えます。1週間に1回自分のために時間を使い、そばで励ましてくれる人がいる。その存在が困難を抱えた子どもたちの支えになっていると思います」
壁を乗り越えていく子どもたち
会員4人と生徒1人で始まった会も、今はサポーターが約60人、支援している子どもたちは50人近くに(2017年3月現在)。会の支援を受けて大学生や社会人になった子どもたちは、かつての自分たちと同じ境遇にある後輩たちをサポートする側に回っています。
「子どもたちは、日本で生きていくためにいくつもの壁を乗り越えなければなりません。サポートする側も、子どもたちの頑張る姿に勇気づけられています」
今までたくさんの子どもたちに出会ってきた田所さん。彼らの成長も見守ってきました。
「多くの場合、親の都合で日本に来て、初めはものすごく戸惑う。複雑な家族の問題を抱える子たちもいます。でも成長していく中で、そういった境遇を受け入れる瞬間があって、そうすると表情が変わります。そして壁を乗り越えていく」
日本生まれの子どもたちの問題
田所さんが今気になっているのは、日本生まれの、支援が必要な子どもたちだそうです。
「幼少期に母語と日本語がミックスされた環境で育ち、どちらの言語も十分でない語彙力・表現力で就学年齢になってしまった子どもたちがいます。普段の会話は大丈夫ですが、学年が上がるにつれ、読み取り・作文が苦手になります。学校で見過ごされがちな存在なので、注意が必要だと感じています」
会は、これからも一人一人に寄り添ったサポートを続けていきます。
外国人の子ども・サポートの会
学習日 申し込み後に相談
時 間 申し込み後に相談
場 所 エル・ソーラ仙台 市民交流スペース(仙台市青葉区中央1丁目3-1 アエル28階)
費 用 入会金 1,000円
申 込 代表 田所(たどころ)さんまで
電話 090-2793-8899 メール jets@sda.att.ne.jp
ホームページ https://kodomosupport.jimdo.com/
子どもの状況にあわせて、どんな支援が必要か話し合います。日時も相談し、放課後や週末に勉強します。
毎回サポーターと1対1で学習します。
外国にルーツを持つ子どもの支援で気をつけたいこと
Q 学校に外国語ができる教師がいません。どう対応していったらいいのでしょうか?
A 日本語が話せない子どもの指導には通訳者が必要と思われがちですが、日本語学習については、子どもの母語がわからなくても可能です(ALTの先生が英語だけで授業を進めるのと同じ)。子どもたちが、第二言語として日本語を学ぶための教材はいろいろなものが公開されています。
また、日本語がわからなくても、体育や音楽などの実技科目や、給食・掃除などに参加することが大切です。子ども同士のやりとりから、生きた日本語を吸収していきます。
Q 外国にルーツを持つ子どもたちは、どのくらいで日本語を身につけるのでしょうか?
A 一般に日常生活に必要な「生活言語」の習得は1~2年、学習に必要な「学習言語」の習得は5年以上かかると言われています。特に、学習言語の習得は簡単ではありません。話すのがペラペラなのにテストの点が悪いという場合、学習言語の習得が十分ではない可能性があります。これは学力や発達の問題とは異なります。
外国にルーツを持つ子どもの相談は、センティア国際化事業部までご連絡ください。